ジュデイ感想

  • 藤野茂樹
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  • 2023/02/11 (Sat) 01:16:50
ジュディ感想  藤野

外国のスターの伝記映画はかなりあるが、この映画もよく知っている人物であるため、素直に物語に入れ、感情移入もできた。
ただ、挿入歌で自分が知っているのは、お粗末ですが最後の「虹を超えて」だけだった。

1. 印象に残った所
A、「子供をステージに立たせて、虚構の世界に入れたくない‥‥‥」とジュディが言うが、娘のライザミネリはまたその世界に入っていった。ジュディがいかに苦しんでいたかがわかるのに、娘はどう考えてまたその世界に入っていったのか知りたいものです。
B、今まで彼女の前には彼女で一儲けしようという人々しか現れなかった。ところがロンドン公演の最中に、名もないゲイのファンに自宅に招かれた。食事も粗末なものだったが、この一晩の交流こそが彼女の望んでいたものだった。
C、最後舞台で歌えなくなった時に、同性愛者の二人が歌い始め、それが全員に広がったこと。感動的だったが、その後この観客と一体になる方法は日本では歌声酒場でよく使われるパターンとなった。なので、映画が作られた時は大感動だっただろうが、現代ではちょっと古い印象を持ってしまった。

2. 脚本について
現在と過去を行ったり来たりしている。肉体的にも精神的にもコントロールされた青春時代と、大人になってから利用しようと群がる人間に振り回され、対応が出来ずに薬物に侵されて零落していく姿を往復して作られていた。このような構成がジュディの不幸をより強調していた。
例えばロンドン公演での不祥事の際には、少女時代にルイス・B・メイヤーにしかられたことを思い出す。そのエピソードのはさみ方は、PTSDのようである。
こういう場面は食事や食物(ケーキ)、等にもあって、マインドコントロールされたジュディが抜けられなくて苦しむ姿がよく分かる。

3. ジュディの生涯について
うつ病との闘い。不眠症、体調不良、不安障害があって、薬を多用し、少しでも気持ちを安定させようと結婚を繰り返す。ハリウッドのスターにはよくある話だが、彼女もその典型だったようだ。
また、うつ病特有の現象だが、認知のゆがみがあり、適切な判断ができていない。子供の幸福は自分と共に暮らすことと信じて疑わず、ひとりロンドンへ旅立ち公演を続け、ある日電話で、娘が父親と故郷で静かに暮らしたいと言われ愕然とする。そして益々孤独になり、薬が手放せなくなっていく。可哀そうな人生だったのですね。
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